本の森/音の海

本と音楽についてのノート

ヴァンパイア・ウィークエンド「ファーザー・オブ・ザ・ブライド」

 

ファーザー・オブ・ザ・ブライド(特典なし)

ファーザー・オブ・ザ・ブライド(特典なし)

 

 タワーレコードの試聴機で耳にしたとき、軽い衝撃があった。

少しカントリーを思わせるサウンドとメロディアスな歌声。2ndアルバム『コントラ』は、アフリカン・ビートも取り入れた、もっとやんちゃな印象だったのだけど、いつのまにこんなに柔らかな音楽になったのだろう。久しく彼らの音楽から遠ざかっていただけに、ほとんど新しいバンドの音楽のように聴こえた。そして、すっかり魅了されてしまった。

とにかく、メロディーがどれも良い。細野晴臣さんの「花に水」をサンプリングした曲も、小品ではあるけど繊細な美しさをもっている。ネオアコとシカゴ音響派・・・特にサム・プレコップのソロのエッセンスを現代の感性で掬い取ったかのようなアルバムだ。

成熟していながらも瑞々しさにあふれた音楽。こうした音楽が堂々ビルボードで1位を獲得したのだから素晴らしい。普段チャートを意識することはめったにないのだけど、このニュースを知ったときは心の中で快哉を叫んでいた。